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感音性難聴

内耳から脳中枢にかけて障害を受けて起こる難聴を感音性の難聴と呼んでいます。 原因は多岐にわたり、一度難聴になると一部の難聴を除いて治癒不可能な場合が多いようです。
一般的に感音性難聴は、ほとんどが蝸牛に起因しており、蝸牛起因性難聴(内耳性難聴)と呼ばれています。
蝸牛に起因する難聴は老人性難聴、薬物難聴などに代表されますが、主に有毛細胞と血管条の部分が傷害を受けやすいと言われています。
伝音性難聴と違い、音を感じ取るところの障害ですので、どこまでも難聴は進行します。
軽度の難聴から全聾までの広範囲にわたり下記のような症状を伴う場合が多くあります。

@補充現象(レクルートメント)
音の大小の感覚が異常になり、最小可聴閾値を超えると急激に大きな音として感じる現象で、正常耳の不快閾値よりずっと小さい音で不快に感じるようになります。 補充現象を検査するSISIテストでは、1デシベル程度の音圧の変化を認知できるかどうかを調べます。正常な耳は意外と音の大きさの変化には鈍感なところもあり、 約3デシベル程度の変化が無ければ違いを認知することが出来ません。
A周波数分析障害
音として感知するが言葉の意味がよく理解できない。(語音弁別能力の低下)
B耳鳴り

◆先天性内耳疾患◆
年齢と共に悪化する傾向があり、耳鳴りや補充現象、周波数分析障害を伴うことが多く、乳幼児期の感音性難聴は言語習得の前か後かによって 大きな差があります。
遺伝性(内因性)
@優性遺伝…家族性内耳性難聴があり、小学校入学以後出現し、進行性あり。
A劣勢遺伝…散発性ろうがあり、遺伝性の大部分を占め、血族結婚と関係が深いと言われています。

◆後天性内耳疾患◆
髄膜炎によるものが最も多く、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、麻疹(はしか)、インフルエンザ、肺炎、猩紅熱、小児麻痺(ポリオ)、その他の高熱性伝染病の合併症として内神経が侵されることが多いようです。
髄膜炎、おたふくかぜ、はしかの3疾患は特に多く、梅毒が原因で内耳炎を起こす場合もあるそうです。

◆メニエール病◆
耳鳴りや難聴を伴った回転性の眩暈を繰り返す病気で、発見したフランスの医師の名前からとられた病名です。発作のたびに内耳機能が悪化し、原因は内耳の内リンパ液の増加にあるとされ、内リンパ液がなぜ増加するのかは良くわかっていません。
一側性の場合が多く、両耳に起こるのは30%といわれ、聴力は中音域いかが低下することが多く見られます。

◆突発性難聴◆
近年、芸能人の何人かがこの病気を公表され、この病名を多くの方が耳にされたかもしれません。ある日突然耳が聞こえなくなる病気で、4・50代の人に多く発症し、日本では年間約5000人位の人が発病しているそうです。
出来るだけ早く(2週間以内程度)に治療を開始することで回復の可能性があり、比較的軽度な症状の場合は発病後1週間以内であれば80%、2週間以内であれば50%の確立で治癒すると言われています。ステロイドの点滴なり、原因は特定されていませんが治療法は確立されて来ており、出来るだけ早い治療の開始が望まれます。
多くは一側性で、難聴の程度は軽度からろうまで様々です。

◆騒音性難聴◆
長期にわたって大きな音を聞き続けることで有毛細胞が傷害を受けることがあります。原因となる騒音はおよそ90デシベル以上の音で、2000〜3000ヘルツ以上の高い音の成分と言われます。
オージオグラムは3000、4000、6000ヘルツでV字型のディップが現れます。



◆老人性難聴◆
人間の聴力は20代から徐々に衰えが見られます。その衰退は低音域よりも高音域に著しく、60歳代で平均聴力レベルが25〜35デシベル、70歳代で30〜40デシベル、80歳代で35〜45デシベル程度と言われています。
聴力低下だけでなく、語音の弁別能力においても衰退し、内容が判別できない周波数分析障害が見られます。原因は内耳の感覚細胞の老化と、脳神経の老化によるものが考えられます。
老人性難聴の閾値は騒音性の難聴のディップを除いたような形になります。